[ サマー・ロマンス ] 忌野清志郎

[ サマー・ロマンス ] 忌野清志郎
ひょんなことで探していた清志郎の楽曲がみつかって、それを聴きながら新聞を見ていた。オリンピック選手を乗せたオープンバスがゆっくり進む凱旋パレード。金銀銅のメダリストが銀座を凱旋するってんで集まったのが徹夜組も含め主催者発表で50万人だそうだ。

たしかその前日だ。放射性廃棄物を埋める仮置き場についての政府発表があったよ。廃炉にする東電福一原発の敷地内こそ最適場所という専門家の主張を無視しつづけて出てきたのは、原発近隣の複数の村。細野は、それらの村々に放射性廃棄物を分散して仮置くと言ったよ。

手をふるオリンピック選手に向かって「福島に勇気を与えてくれてありがとう!」と叫んで応える人がいたと、その新聞は書いていた。そして、あふれる人と赤い凱旋バスで埋まる銀座の写真の裏面のさらにまたその裏面に、廃棄物を押し付けられた村の人々の困惑と怒りが小さな記事で載っていた。

金銀銅のメダルを誇示する凱旋パレードの熱狂。

出口の見えない明日を見つめ続ける福島の人々の現実。

吹き上がるナショナリズムが、それを煽動するマスコミの腐敗が、「勇気」「絆」という言葉ひとつで、福島のリアルをいともたやすく甘い甘い真夏のロマンスに粉飾する…

しかし、それは、暑さにやられたオレの頭が見た悪夢なのかもしれない。

人出のパッとしない平日の銀座でも、勤め人なら辺り一帯のビジネスビルにあふれている。そして、その凱旋パレードは、銀座1丁目を午前11時にスタートし、8丁目までの約1キロを20分かけてゆっくり移動しただけのこと。

ホンモノ見たい!! のノリで、そこかしこのビルから早めのランチをかねて勤め人が流れ出てきたとすれば、50万人という数も異様というほどのこともなく、「勇気」「絆」「日本万歳!」と吹き上がっていたのは、いつでもどこにでも混じっている御仁、というだけの、これは話なのかもしれない。



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